伝聞と非伝聞の区別

<非伝聞とされる類型>
(1)「言葉」が要証事実である場合

(2)「言葉」が状況証拠である場合

(3)「言葉」が行為の言語的部分である場合

(4)精神状態の供述である場合

(5)犯行計画打ち合わせメモ

 

非伝聞となるケース

〇Aが公衆の面前で「Bさんは犯罪者ですよ」と言った場合
(Aが何を言ったのかについて反対尋問ができる、Bが犯罪者かどうかは問題にならない)

〇悪そうな男XがCに対し「いつもお世話になっております」というのをAが聞いた場合
(要証事実はXとCがどれだけ親しいのかなので言葉の内容の真実性は問題にならない)

〇悪そうな男XがCに対し「例の件お願いします」と言って金員を渡したのをAが見た場合
(要証事実は賄賂、収賄か否かなのでXの言葉の内容の真実性は問題にならない)

〇警察官射殺事件で被告人Xが共謀共同正犯か否かが争われた際にXが幹部会にて
「白鳥(警察官)はもうころしてもいいやつだな」と発言した場合
(Xがその幹部会に参加していた事が共謀を証明する為)

〇強姦致死事件において、被告人Xが
「かねてから被害者Bと情を通じたいとの野心を持っていた」かどうかが争われ、
証人Kの「Bは、『あの人(X)はすかんわ、いやらしいことばかりする』
と言った場合
(認識、意思、精神状態を要証事実とする場合、知覚・記憶の過程を経ておらず、
伝聞証拠に存する類型的危険(誤りの入る余地)が少ない。)

〇犯行計画打ち合わせメモ※回覧されていない
(メモが犯行の謀議や、意思連絡の手段そのものである場合は
メモの存在そのものが、共謀の具体化であり、要証事実となる)

〇メモがAの認識を記したものでAの認識が要証事実になる場合※回覧されていない
(メモは「Kの認識」としての供述証拠となるので、精神状態の供述である場合の論点の自説に従う)

 

伝聞となるケース

〇メモがAの認識を記したものであってBの認識が要証事実となる場合※回覧されていない
(メモは「Kの認識」としての供述証拠となるので、
他の者(X)の犯行計画についての認識は、非伝聞とならない)