間接正犯についてまとめ

他者を利用して犯罪を犯した場合
被利用者に反対動機の形成可能性がなければ、利用者の行為が実行行為といえる。

 

判例 最決昭和58年9月21日
「被告人は、当時一二歳の養女Aを連れて四国八十八ケ所札所等を巡礼中、日頃被告人の言動に逆らう素振りを見せる都度顔面にタバコの火を押しつけたりドライバーで顔をこすつたりするなどの暴行を加えて自己の意のままに従わせていた同女に対し、本件各窃盗を命じてこれを行わせたというのであり、これによれば、被告人が、自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている同女を利用して右各窃盗を行つたと認められるのであるから、たとえ所論のように同女が是非善悪の判断能力を有する者であつたとしても、被告人については本件各窃盗の間接正犯が成立する
Q.
情を知らない他人Aを利用するXの行為はいかなる罪責を負うか。

A.
被利用者Aに反対動機の形成可能性がない場合は、道具として定義され
行為者Xの行為は実行行為であるといえる。

Q.
Aは善悪の区別がつく年齢でもあり、窃盗に関する「道具」とは言えないのではないか。

A.
本件Aは日ごろからXの言動に畏怖し、意思を抑圧されていたから、
反対動機の形成可能性がないと言え、道具といえる。

 

今回の事例は反対動機の形成可能性が無いによりAは道具であると定義されるので
Xは間接正犯として扱われる事になる。

 

 

その他間接正犯 ※通説

1.人の入った着ぐるみに発砲するよう命じて殺害させた場合
狙撃者は中に人がいる事を認識できない場合は
反対動機が形成不可能で間接正犯が成立すると考えられる

2.部下に偽造文書を作らせた場合、部下は機械的に上司のいう事を聞いて作業を
行うだけの者なので上司に間接正犯が成立すると考えられる(部下は幇助犯)

3.XがYを指示してaを襲わせ、aが正当防衛でYに反撃した場合
正当防衛行為は反対動機が形成不可能であるのでXに間接正犯が成立し得る